親または親に代わる養育者が、子供の心や身体を傷つけ、子供の健やかな発育や発達に悪い影響を与えることを「児童虐待」といいます。「児童虐待の防止等に関する法律」では、「何人も、児童に対し、虐待をしてはならない」と、児童に対する虐待行為の禁止が明記されています。
児童虐待は大きく4つに分類されます
- 身体的虐待
- 殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、家の外にしめだす、縄などでしばり拘束する、異物をのませる、意図的に子供を病気にするなど
- 性的虐待
- 子供への性交、性行為を見せる(教唆を含む)、性器をさわる・さわらせる、子供をポルノグラフィの被写体にするなど
- ネグレクト
- 乳幼児を家に残して外出する、食事を与えない、ひどく不潔なままにしたり、健康を損なうほどの無関心・怠慢がある、子供の意思に反して登校させない、自動車の中に放置する、病院に連れて行かない、祖父母や保護者の同居人などから子供への暴力があるにもかかわらず放置しているなど
- 心理的虐待
- 言葉による脅し、無視、否定的な発言を繰り返し言う、きょうだい間で差別的な扱いをする、子供の目の前で家族に対し暴力をふるう面前DVなど
体罰が及ぼす影響
藤原武男他による2017年の調査「幼児に対する尻叩きとその後の行動問題」によると、親から体罰を受けていた子供は、全く受けていない子供に比べ、「落ち着いて話が聞けない」「約束を守れない」「感情のコントロールが苦手」という問題行動をとるリスクが高まることが分かっています。体罰・暴言は子供の発達に深刻な影響を及ぼします。親は「愛の鞭」のつもりでも、目に見えない大きなダメージを与えているかもしれないのです。
子供時代のつらい経験により傷つく脳
提供:福井大学 友田明美教授
厳しい体罰により、前頭前野(社会生活に極めて重要な脳部位)の容積が19.1%減少。言葉の暴力により、聴覚野(声や音を知覚する脳部位)が変形
(厚生労働省「子どもを健やかに育むために〜愛の鞭ゼロ作戦〜」より抜粋
次の行為が虐待に当てはまれば「〇」
あてはまなければ「×」で答えて虐待の知識を深めよう。
- 言葉で注意したけど、言うことを聞かないので頬を叩いた
- 肉体的苦痛を与えるようなものは、虐待になります
- 掃除をしないので長時間正座させた
- 肉体的苦痛を与えるようなもの(正座・直立等特定の姿勢を長時間にわたって保持させる等)に当たると判断された場合は、虐待になります
- 宿題をしなかったので夕ご飯を与えなかった
- 子供の身体に何らかの苦痛を引き起こし、または不快感を意図的にもたらす行為は虐待です
- 友達を殴ってけがをさせたので、痛みを教えるために殴った
- 肉体的苦痛を与えるようなものは、虐待になります
- つい「お前なんか生まれてこなかったらよかった」と言った
- 子供の心を傷つけたり、自尊心を傷つけるような言動は虐待です
体罰によらない子育てとは
「たたかない」「どならない」ちょっとした工夫や言葉選びで解決できることもあります。
困ったときはぜひ実践してみて。
- まだ遊びたいんだね
- 子供の話をまず聞きましょう。子供の気持ちや考えに耳を傾け、気持ちを受け止めることから始めましょう
- もしかして
お腹が空いたのかな? - 「言うことを聞かない」にもいろいろあります。(大人の気を引きたい、まだ理解できない、今日は体調が悪いなど)
- これは
手の届かない所に
収納しておこう - 危険なもの、触ってほしくないものを子供の視野からなくすなど、環境を整えてみましょう
- ほら、好きなアニメ
見てみようよ - 大泣き、かんしゃくを短時間でおわらせるコツを探してみましょう。(泣き止んだらほめる!を繰り返しましょう)
- できたね!
えらい、えらい! - 子供の良いところ、今できていて更に増やしたいことを具体的にほめましょう
- 時間はかかるけど、
1人でやってみたいんだ - 肩の力を抜いて、子供の素敵なところ、面白いところを見つけてみましょう。少しずつやってみましょう。
- 話してください
- パパ・ママ自身が困ったら抱え込まずに誰かに相談をしたり、189にSOSを出しましょう