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出産された方へ
産後のこころと体
産後の体
出産後の体が元に戻るまでの期間(6〜8週間)を『産褥期(さんじょくき)』と言います。産褥期は、体内で赤ちゃんを育むために変わっていた母体が、子宮の収縮などさまざまに変化していきます。
子宮復古
本来の子宮の長さ(約7㎝)に対し、妊娠末期の子宮底長は30〜35㎝にまで広がり、容積は1000倍以上になっています。産後、子宮は4〜6週間かけて元の大きさに戻るため球状に収縮していきます。母乳を与えることで回復が促進すると言われています。
【子宮復古に見られる症状】
〇悪露(おろ)
子宮復古時、子宮内膜や子宮頸管、膣から分泌される分泌物を悪露と言います。血液成分が主ですが、時間が経つにつれ褐色から黄色と変わり、量も減っていきます。5〜6週間で分泌物がほとんどなくなってしまうのが一般的です。
〇後陣痛(こうじんつう)
産後、陣痛のような痛みを覚えることがあります。この痛みは「あとばら」とも言われ、子宮が収縮する時に起こるもので心配はありません。出産を経験した人に多いのが特徴ですが、痛みがひどく耐えられない場合は鎮痛剤が必要なこともあります。
〇乳汁分泌
出産後は卵胞ホルモン、黄体ホルモン量が減少する一方で、乳汁の産生にかかわるプロラクチンの分泌が促進され、乳汁が出ます。これは赤ちゃんに乳首を通じて母乳を与えることで、子宮収縮を促すオキシトシンが分泌され、子宮復古が進むためです。
〇産褥初発排卵
産後初めての排卵を産褥初発排卵といいます。このタイミングは、授乳状態や体重の変化、貧血の有無などによって前後しますが、母乳だけで育てている場合、10か月〜1年くらい、まったく母乳をあげていない場合は、2か月くらいが一般的です。
〇初乳
出産直後に出る黄色っぽい母乳を「初乳」と言います。この初乳はタンパク質を多量に含みエネルギーも豊富。初乳に含まれる母体からの免疫物質が赤ちゃんに移行されるうえ、塩類、酵素もたっぷりあるので、赤ちゃんの健康的な成長のためにできるだけ与えたいもの。産後1週間で通常の成乳になります。
産褥期(さんじょくき)の異常
子宮復古不全
子宮収縮が不完全なため、子宮復古が遅れることを言います。異常な出血、感染症、子宮内膣癒着など、さまざまな疾患の原因になります。原因として胎盤片や卵膜片が子宮の中に残っていることが多いようです。お腹の痛み、異常な出血が続くようなら医師へ相談しましょう。
産褥熱
分娩中やその前後に起こる熱性疾患を総称して言います。主に分娩に伴う傷からの、細菌感染による産褥期感染症が原因とされています。最近では抗生物質での予防により、産褥熱の重症例や死亡はほとんどなくなりました。
【家庭でできる産褥熱の予防法】
〇妊娠中
①常に体の各部を清潔にしておく。
②妊娠末期(37週以降)の性交は避ける。
③妊娠期間中はコンドームを使用する。
④虫歯、腎盂腎炎(じんうじんえん)など細菌性疾患を完治させておく。
〇産褥期
①悪露の排泄状態に注意する。
②子宮の収縮状態に気を配り、異常出血など不安な状態があれば、産婦人科を受診する。
③外陰を清潔に保つ。
乳腺炎
乳房の腫脹や発赤を主な症状として、脇の下のリンパが腫れたりします。乳汁がうっ滞して起こる『うっ滞性乳腺炎』と乳頭の傷などから細菌が入ることによる『細菌性乳腺炎』があります。授乳後に残った乳汁をよく搾り出しておくことや、乳首を清潔に保つことで予防できます。助産師さんにマッサージを受けるのも効果的です。
排尿障害
分娩後、自然に排尿しにくい状態が1〜2日続くことがあります。1週間以上長引く場合は泌尿器科の受診が必要なこともあります。また出産を経てしばらくの間は、くしゃみや笑った後に尿漏れすることがあります。それは出産の際、骨盤の筋肉が疲労したり伸びきってしまったためで、筋肉の回復によって自然と解消されることが多いようです。気になる人は医師に相談を。
痔
出産時のいきみによって、切れ痔や脱肛になることがあります。これは、妊娠中から繊維質を含む食品を摂ることで予防できます。産後は便秘になりやすいので、規則的な食生活を心がけて悪化しないように心がけましょう。
【こころ】
ゆううつ
産後、一時的に精神的に不安定になることを、マタニティブルーと言います。疲労感、涙もろさ、不安感、当惑、頭痛、不眠、食欲不振、怒りっぽいなどが主な症状で、産後10日以内に出ることが多いようです。2週間以上続けば産後うつ病の可能性もありますので、場合によっては、病院で抗うつ剤を処方してもらうこともできます。何よりも家族の協力を得て、心を安定させていきましょう。
産婦健康診査
広島県では、県内の全市町で産後2週間、産後1か月など出産後間もない時期の産婦に対する健康診査(産婦健康診査)の一部助成(補助券の配付)を実施しています。
産婦健康診査では、質問票等を用い母親の心理状態や児に対する気持ちを把握し、支援が必要と判断された場合には子育て世代包括支援センターにも情報提供し、産後ケアなどを含めた支援を行うこととなっています。これらの制度を利用し一人で悩みを抱えこまないようにしましょう。詳細は広島県のホームページからもご覧いただけます。
産婦健康診査について
相談先の紹介
産前産後ケアについて
出産後や退院後の育児や家事を支援してくれる人がいない、育児や家事などの負担が母親に大きくかかる、育児に関する悩みや相談をする人が身近にいない等で悩んでいませんか。
県内の医療機関、助産所等や市町では、産前、産後早期から支援が必要な家庭に対して、育児や家事等の負担感や不安を軽減するための取組を行っています。
○産前・産後サポート事業
産前・産後の心身の不調に関する相談支援など。
○産後ケア事業
退院直後の産婦に対して宿泊による休養の機会の提供、助産師等による授乳指導、育児のサポートなど。
詳しくは広島県のホームページをご覧ください。
産前・産後ケアの実施状況について
広島県女性の健康相談事業
広島県では、思春期から更年期に至る女性を対象とした、女性特有の身体的特徴から生じる様々な支障や身体的・精神的な悩みに関する相談支援や、女性が健康状態に応じた的確な自己管理を行うために必要な健康に関する情報提供などを行うため、助産師などの専門家が対応する女性健康支援事業(女性健康相談)を実施しています。
詳しくは広島県のホームページをご覧ください。
女性の健康相談事業
ひろしま助産師オンライン相談
ひろしま助産師オンラインでは、家にいながら助産師と1対1でお話や相談ができます。
9時~21時 土・日・祝でも相談OK!相談は何度でも無料です!
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